[手を離す。立ち上がって、普段は届かないライジの頬へ触れる。
金属に熱が移って少しだけ冷たくなったことを差し引いても、思ったよりも温かくない手のひらだろう。]
スペランツァって、『希望』って意味だって、前に教えてもらったヨ。
たぶん、いい探査結果を持って帰ってきてほしいってことだと思うけド……ライジにとっては、違うんだネ。
いっぱい意味があったって、いいよネ。
[姿かたちも文化も違うものが共存する世界は、ケトゥートゥにとっては、どちらかといえば当たり前の世界だ。
シュトゥレクの民たちが、生まれこそ珍しいけれど、取り立てて他種族の益にならない存在であったことも大きいだろう。
ただ受け入れることを許された幸運を背景にケトゥートゥは生まれ育ち、旅立っている。
だからライジの『希望』>>89は、ケトゥートゥにとってはそうではないけれど。
それでもいいのだろう。違ってなお認め合うことが、共存するということだから。]
ちょっと安心したヨ。何でかナ?
まだまだ一緒に、旅が出来そうな気がしたから、かナ?
[そう言って、少しだけ、笑った。
少しだったけれど、笑っていた。**]
(113) 2021/11/14(Sun) 10時半頃