― 三日目・日没後 船外 ―
[殆ど光の入らないライジの目>>88を見上げて、こんな目をしていただろうか、と思う。
そうだったのかもしれない。それを感じ取れるところに、ケトゥートゥがいなかっただけで。
今もまだ、その暗さの全てを推し量れるほど深くには、きっとケトゥートゥはいない。]
うン。……ハロがね、ケトゥも来たらいいよ、って、言ったかラ。
綺麗なら、尚更行かないとだネ。一番な綺麗な時がいいナ。
……夜明け、かなァ。
[ぼんやりとそう思う。だんだんと光に満ちていく海は、きっと綺麗だ。
夜中に一人で抜け出すと心配されそうだから、誰かを誘ってもいいかもしれない。
撫でる手が離れるのに合わせて目を開けて、離れていく手へ自分の手を伸ばした。
滅多に直接晒されることのない機械の腕に、幾周りか小さい手が触れる。
すこし、つめたい。金属なのだから当たり前だ。どうしてか急に切なくなって、ぎゅっと握る。ケトゥートゥの熱が伝導して、少しだけ温まる。その熱も、ライジにまでは伝わらない。
すぐ隣にいるのに、とても遠いところにいるような気もした。とても暗くて、深いところ。ひとりの場所。]
(112) 2021/11/14(Sun) 10時半頃