[自分が、そうだと思ったから……と、敢えてそう言いはしなかったけれど。
もしかしたら声の翳りで、伝わるものはあったかもしれない。]
……ああしなくちゃ、許せなかったのかナ。
深くて、つめたい、静かなところに、ひとりで沈んで。
それで、ライジは自分のこと、許せたのかナ?
[彼の心がどこか遠くの、そういう場所にあるような気が、あのときしたから。彼が自ら惹かれて、自ら選んであの場所に沈んだことは、何処か納得できることではあったのだけれど。
でも、そんなのは、ケトゥートゥが勝手に思うことだ。ただの想像だ。本当のことはわからない。これからも、わからないまま。]
ケトゥートゥは、教えてほしかったヨ。たぶん怒ったし、嫌がったし、泣いたし、いっぱいライジのこと、困った顔にさせたけド。
それでも、どうしても、どうしても行っちゃうなら、……行ってらっしゃいって、言いたかったヨ……。
(112) sleepingxalice 2021/11/19(Fri) 00時半頃