― 三日目・夜/タラップ付近 ―
[キランディ>>84を振り返る。それとともに、イワノフがいつも口にくわえる煙草型ドラッグの青い光が夜を横切る。暗い夜の中に、かれの瞳は青く光っている。宇宙に浮かぶ青い星のように。]
よう。思ったより元気そうだな。
……謝ることじゃねえ。生きてることが一番の手柄だ。
オマエはハードな状況にいた。よく帰ってきた。
オレはカウンセラーじゃねえから、うまく言えねえ。
だから普通のことを言うぞ。
――あまり自分を責めるなよ。
[おおまかな状況は伝わっているはずだった。通信記録にも残っているはずだった。だが、探索中のイワノフから応答があることはほとんどない。
イワノフにはたくさんの幻聴が聞こえている。幻覚が見えている。海ではそれがひときわ強くなる。いつもスペランツァに戻って、正気のかけらを取り戻す。自分がキャプテンでもなんでもないことを思い出す。しかしまた一方で、自分は”キャプテン”だった。その責任感はあった。**]
(99) 2021/11/14(Sun) 02時半頃