[目の前の体温が肩口に来れば、肩を叩いでいた手は後頭部に回る。>>91
テンポはゆっくり、そのまま。
もう片方の腕で、止まらない涙の背をそっと抱きしめる。
気の利いた言葉は出ない。
全部夢であったらどんなに良かっただろう。
アシモフもギロチンも、ふわふわと動き回る姿の記憶はまだ新しいのに、今は扉の向こうで静かに眠って居る。
合成樹脂の服と、弾力があるようで張りがある、肉とは異なる感触の身体。
キランディとハロが談話室に向かうのを見送って、>>88>>92>>93
もしかしたら、このまま泣いている所を見られるとケトゥートゥが恥ずかしがるかもしれないと周囲を見渡して、必要であれば抱いて運ぶかなとボヤボヤ考えていた。
心音の代わりの、コポンコポンと気泡が産まれ、消える音。
それはもしかしたら、古い大樹が水を吸い上げる音にも似て居たかもしれない。**]
(98) 2021/11/12(Fri) 02時半頃