― 三日目/安置室 ―
[イースターは再び、安置室へと訪れる。
『マーレ10』に降り立つ前と比べ、船の中は驚くほどに静かだ。年上分の泣き声すらも聞こえない>>65。
訪れれば、ヨーランダは其処に居るだろう。『HOUSE』の欄に示されていた彼は、この場所から動くことが出来なくなった。何故かという点は気にならなくはないのだが、理由を聞くことはしなかった。
だから何も尋ねる事はせず。ただ、花を一輪頼んで、それからは昨日と同じ。
けれど、その中にあるものは。アシモフの時とも、ギロチンの時とも違う。生前の姿からは見る影もない。それがハロだと証明する手段が無かったなら気付けなかったかもしれない程に、とてもとても小さくなった容量に、彼の尊厳を守る為の白い布が掛けられている姿。]
…………。
イースターは、忘れません。ハロ様の事も。
……、忘れません。
[そう告げる事を、イースターは自身の弔いの方法とする事にしたのだ。そうすれば己の中で、死者は生き続ける。
――嗚呼。けれど、それでも。]
(90) 2021/11/14(Sun) 02時頃