……あー、
[調査船に乗っている理由。>>79
それは、きっかけという意味なら、単純に拾われたからだ。他に行く宛もなかった自分を、相棒の二足歩行機ごと迎え入れてくれたからだ。
今も『スペランツァ』に乗り続けている理由は、]
この船には、色んな星から来たクルーが乗ってるよな。
生まれも育ちも考え方も、みんな違う。でも、うまくやってる。
おれは、……おれの、生まれた星は。そうじゃなかったから。
[故郷、と口に出そうとして、言い淀む。
間違いなく生まれ故郷ではある。けれど、自分があの星をそう呼ぶのは、違うような気がしていた。>>56]
姿かたちも文化も違う奴らが同じ船で暮らしてるっていうのがさ。
多分、おれにとってはわりと希望なんじゃねえかな。
[背後を振り仰ぐ。
星空に黒々と聳える『スペランツァ』のシルエットを見上げて、だから乗ってる。と答えた。
――希望、あるいは憧れ。そして、後悔でもある。*]
(89) 2021/11/14(Sun) 01時半頃