おまえ、やわらかいなあ。
[操縦桿や探査機の外装に触れる時とは少し違う、押した時の反発の強さのようなもの。グローブ越しよりもほんの僅かだけれどはっきり感じられるような、生き物の肌の柔らかさに触れられたような、そんな心地があった。
そうやってぎこちなくジルの背を撫でてみるうち。かぼちゃ頭に空いた穴の奥、目のようなオレンジ色の光を見ているうち。
何故だか少しずつ、じわりと心が落ち着いていくような感覚になる。
このオレンジ色の光には以前にも――まあまあの頻度で――お世話になっているのだが、じかに撫でてみたのは初めてだった。
もっと前に、色んな相手に、そうしていたらよかったのかもしれない。]
……ありがとうな。
[暫くそうやって撫でさせてもらってから。またグローブを嵌めて、談話室を出る。
出たところで、ものすごい泣き声が聞こえた。>>72]
(85) 2021/11/12(Fri) 01時頃