―補給港到着後のはなし―
[船から降りる際には、少しの名残惜しさを覚える。
すっかり馴染んでしまっていた。
けれど出会いは別れの始めである。
そして別れれば、また出会うこともあるだろう。
僅かな未練を振り切り、港のロビーに降り立てば、インタビューを待ち構えていた記者たちが寄ってくるのが見えた。しかし彼らを押しのけるように、別の集団も土煙をあげる勢いでやってきた。]
キュルキュルッ!
『父上』『父さま』『じさまー』
『無事で何よりですな』
『土産があると聞きました』
『無事で良かったですがまず土産を』
[ハロは来れそうな親族になるべく来るよう、連絡をしておいたのである。土産たくさん買ったから来い、とも言いつけて。
港はクモミズ族でわらわらした。「うわーっハロさんが誰かわからないーっ」と叫ぶ記者の声も混じっている。]
(59) mikanseijin 2022/05/19(Thu) 13時頃