[黒いカーディガンの下の、白いドレスの裾。
セシルの髪よりも少しだけ明るい色味のボブカット。
それらがふわりと微かに翻ったのは、それなりの間合いの場所に、翼もつ御使いが降り立った時>>42。]
『ああ、いかにも。はじめまして!
ワタシがグラーツィアだよ、ガブリエル。
ワタシとセシルをキミたちが見た時には、
そういえばろくな挨拶一つしなかったものだが――。
それでもちゃんとワタシの方だと判ってくれて何よりだ』
[無邪気な笑顔ひとつ崩さず返したこの言葉から、自分たちの姿が選手たちに垣間見られていた>>0:12ことをグラーツィアは認識していたことが解るだろう。
そしてこの言葉は、文字通り、笑顔ひとつ崩さず――
すなわち『くちびるを一切動かさずに』放たれている。
丁度、頭の中、あるいは精神の中に直接声を送り込むような、テレパシーめいた形の言葉だ。]
(56) sakanoka2 2021/04/21(Wed) 19時半頃