[頷く少女>>50にだいじょうぶよ、と繰り返して、名残を惜しむように一度だけ抱きしめる。いくら言って聞かせても、きっと、恐ろしいだろうと思う。自分だって怖い。
あの日血溜まりの部屋を見て、あの格好つけの男が『本当は今日使おうと』>>4:54と言っていた訳に思い至ったとき、湧き上がる気持ちがあった。けれど、口には出せなかった。
もはや、その真実を確かめる術もない。
ミームらには知る由もないが……少なくとも、今は。
手の中にあるのは、逃げるのではなく、進むための希望だと。信じ、祈るしかない。与えられる救いにではなく、ただ自分たちが歩む道へ。]
ありがとう、……私も。
あなたに会えて、うれしい。
[――そうして、針と一体型になっている注射器を手に取る。何本ものか細い針はカバーに覆われていて痛みの想像こそさせないものの、その結果に何が起こるかを思えば薄く血の引く感覚がある。それを振り払って少女の細い腕を取り、針を宛がう。
魔法使いの用意した”希望”は、ゆっくりとあなたの身体をめぐり、心臓の動きを鈍らせて行くだろう。
せいいっぱい、笑ってささやく。]
おやすみ、サラ。
……また明日。
(51) jinrou465 2022/05/18(Wed) 21時頃