[不安かと、問われて>>49。少女は少しだけ考えて、素直に頷いた。期待と不安に両面から押されて、心はずっと、落ち着かず中空で揺れている。
けれど、何れ程に不安でも。止めよう、とは思わない。
何もかも未だ定まって居ない、宇宙程も広大に思える未来の中へ。少女の手を引き、背を押して呉れたのは、目の前の友人ばかりでは無いし。
誰より、自分自身が。其処へ向かうことを望んでいる。
痛み出す頭を、然り気無い所作で、ポッドの縁へ預ける。逃げるのか、と鋭く問われる様な、少女の意志を責め立てる様な痛み。
其れでももう、諦めて手放したりはしない。目の前の友人の手へ、自身の手を添える様に重ねた。
逃げるのではなく、進むのだ、と。其の決意は、痛みに折れずに居る為に、何より役立った。
少女自身の持ち物は殆ど無い。
円盤形の反重力装置だけ、大事に傍らへ置いて。]
ええ。
先に。未来の夢を、見て居るわね。
──有難う。
私、貴方と逢えて。本当に、良かった。
[何度言っても伝え切れない感謝を、少しでも伝えたくて、言葉にして。
後は友人に、タイミングを任せる。]
(50) sleepingxalice 2022/05/18(Wed) 09時頃