― 寄港地到着前夜/ミームの部屋 ―
[さみしい、会いたいと泣いた日が遠いような、つい昨日のことのような心地でパーティーを過ごして、夜になる。
気の良いイザカヤの店主とも、黄色く小さい宇宙人とも、あの夜、沙羅のそばにいることを尊重してくれた老婆とも。
生存のよろこびを分かち合い、それぞれの別れのつらさを共に見つめ、先へと進むことを祝福し合って。
……うまく笑えていただろうか?いた、と、思いたい。
自室に用意させてある、ハッチの開いた繭のような形状のポッド―仮死状態の間、移動のために使う無重力装置のついたものだ―に座らせた沙羅の前に膝で立ってその顔を見上げる。薬を打ったあとは、そのままこのポッドごと、ミームのだいじな”手荷物”になる予定だ。
果たして少女の慮る通り、緊張の面持ちを隠しきれずに小さく喉を鳴らして。けれど、不器用に微笑んで。]
あら、不安?……大丈夫よ。
自由になったって、あなたと私が友達だってことは、
変わらないんだから。
だからあなたはもう、ぜんぜん、安心して眠ってて。
(49) jinrou465 2022/05/18(Wed) 03時頃