人狼議事

23 あの春の廃校だけが僕らの学校だった。


【人】 ラプター ニジノ

 ―― 中央病院/208号室 ――
[次に目を覚ましたのは、最早自宅より見慣れた病室だった。
 未だ奇妙な乖離感があって、ともすればこの世界をモニタ越しに見ている気さえする。]

 「鷹羽君、非常に言い難いことだが、
   君の足は――――」

[目の前の主治医の言葉に、傍らに控えた両親がワッと泣いて左足に取り縋る。
 それすら物語の一幕のようで。
 ぼうっと両手を見下ろし、そして窶れてしまった両親の震える肩に触れてみる。その体温で、漸く一枚膜が剥がれ落ちたよう。トク、と心臓が跳ねた。]

 し、んぱい、いっぱいかけて、ごめ ――なさ、
   おか ぁ さん おとー、さん

[謂れ無き中傷と悪意に晒された一人娘を守ろうと必死だった両親。
 抱きしめ、噎び泣く、嗚咽の度にまた一つ。現実と虚構を隔てていた靄が次第に晴れていく。]

 「二度検査し直したが、奇跡的に完治している」

[見舞い品の果物籠の隣には、クルーエル社のパンフレットと、深い菫色した灰簾石(タンザナイト)が置かれていた。]

(45) りしあ 2023/04/30(Sun) 23時半頃

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