――ホテルラウンジ――
謎めいた招待状を手に、るくあが存命なら一目会いたいと、はるばる長時間船に揺られて、この遊園地にやってきた。それは、ずっと宙ぶらりんだった己の存在の処遇を決めるため、死地を求める心情を否定はできない。
澱みなくそれを口にすれば、卯木は説得する気を失ったようだ(>>2:390)。『生とは死とは――』知った風に説き伏せようとする連中より、余程寄り添ってくれて好感が持てる。
「生きる意味は、そうだね。
ちょっと家族に問題があって、
本当のボクはあまり自己主張しない性格なんです。」
遠くからでも目を惹く奇抜なファッションに身を包み、吐く台詞としては不適切だが、ふふ、と自嘲を混ぜて。
「視聴者にチヤホヤされて、
銀河ギャルキャンディは
オンラインに居場所を見つけたけど、
……現実の黒須ワは、
るくあに見つけて貰えないと、居場所がない。」
静かに首肯を一つ。能面のように表情の抜け落ちた貌は、派手なメイクの奥の何者にもなれない青年の陰を滲ませる。
(10) 2023/11/21(Tue) 00時頃