― 安置室 ―
[他害の可能性がある謹慎者以外は帰還準備に入ると一時謹慎が解かれる。ヨーランダもその例に漏れはなかった。
通信機の権限復帰をもって、ヨーランダは謹慎解除と帰還準備突入を知った。
ライジの事も。
遺骸は回収不能区域に、つまりこの部屋に空のカプセルが運び込まれるということだ]
らいじ。
[ヨーランダはそれなりの期間、この船で働いている。ライジはヨーランダが入った時からいた数少ないクルーだ。入れ替わりの激しい調査船、いや、ヨーランダが今まで生きていた中で、一番長く側にいたのがライジなのは間違いないだろう。
船内を汚し悪びれもない顔をするライジ。
その態度に悪態(と思っている反応)をつくヨーランダ。
きっと、家族という関係に近い、そういう関係だったのだろう。家族というものがいたことがないヨーランダはそう思った]
おやすみ。
[ヨーランダは目頭が熱くなるのを感じた。だが、泣いてはいけないとむんっと気合を入れた。
(空のカプセルではあるけれど)ライジがこの部屋に来るから、ちゃんと迎え入れよう、と**]
(9) tanuki 2021/11/15(Mon) 09時半頃