― 三日目:海 ―
[ライジと同じタイミングか、それとも自分だけか。
ワイヤーを巻き上げ収納した後の大型マルチコプターが少し離れた地点に着陸するだろう。
だが、それだけだ。
動けない。自分はここから出ることは出来ないし、何より岩に縋り動かそうとしている彼女の姿が見える。
立ち尽くすか、膝を折って座り込むか。二本足で立っていたならばそんな事をしていたかもしれない。
岩の下にハロが居る想像は容易い物で、這い出ることも出来ないまま入れ物の中で大きな気泡を何度も鳴らして、]
『キランディ、やめろ、』
『やめなさい』
[今すぐそこから離れてくれ、君も危険なのだから。
きっとハロが助からなかったから、君はそんなになっているのだろう。
泣きそうな声で名前を呼ぶ。
少し離れた場所、崩れた岩場をどうしようもできないまま眺めている。*]
(2) 2021/11/13(Sat) 00時半頃